先に結論
中学生でバンコクへ赴任しても、 日本の高校受験をすることは可能です。
実際には、 中学2年生ごろに母子で先に帰国し、日本の学校と一般入試に慣れる家庭 と、 中学3年生までバンコク日本人学校に在籍し、帰国生入試も含めて受験する家庭 が見られました。
どちらが正解ということではありません。 志望校の入試制度、帰国する地域、子どもの性格や学力、 家族が離れて暮らす負担を比べて決める必要があります。
中学生の子どもを連れてバンコクへ赴任することになったとき、 保護者が最も心配するのが高校受験です。
- 中学生から海外へ行って受験に不利にならないか
- 中学2年生で日本へ戻った方がよいのか
- 中学3年生までバンコクに残っても受験できるのか
- 帰国生入試、いわゆる帰国子女枠を使えるのか
- 内申点や調査書はどうなるのか
- 父親だけタイに残り、母子で先に帰国するべきか
- 寮のある高校を選ぶべきか
など、家族の生活全体に関わる判断が必要になります。
この記事では、 バンコクで教育に長く関わってきた管理人の経験と、 バンコク日本人学校、海外子女教育振興財団などの公開情報をもとに、 中学生の帰国時期と高校受験の考え方を整理します。
帰国生入試の資格、試験科目、帰国期限は学校ごとに異なります。 この記事だけで出願資格を判断せず、 必ず受験年度の募集要項と志望校への問い合わせで確認してください。
中学生の家庭で見られた2つの進路パターン
管理人がバンコクの教育に関わっていたときには、 主に次の2つのパターンが見られました。
パターン1.中学2年生ごろに母子で先に帰国する
父親はバンコクに残り、 母親と子どもが中学2年生ごろに日本へ戻るパターンです。
日本の中学校へ編入し、
- 日本の学校生活に慣れる
- 定期テストの形式に慣れる
- 都道府県ごとの高校入試制度を理解する
- 内申点や調査書を意識して学校生活を送る
- 志望地域の塾へ通う
- 高校説明会や文化祭へ参加する
など、一般入試に向けた準備を日本国内で進めます。
特に公立高校を第一志望にする場合は、 都道府県ごとに入試制度や内申点の扱いが異なるため、 早めに帰国して日本の中学校へ通うことに安心感があります。
また、 子どもが環境の変化に慎重なタイプであれば、 高校入学と本帰国を同時に経験するよりも、 中学生のうちに日本の生活へ慣れておく方が合うことがあります。
中学2年生で帰国するメリット
- 日本の中学校生活と定期テストに慣れられる
- 志望地域の高校を実際に見学しやすい
- 地域の公立高校入試に関する情報を得やすい
- 日本の塾や模試を利用しやすい
- 高校入学前に友人関係や生活基盤をつくれる
- 受験時の住居や住所に関する手続きを進めやすい
中学2年生で帰国するデメリット
- 父親と母子が別々に暮らす期間が長くなる
- 家賃や生活費が二重にかかる可能性がある
- 子どもがバンコクの友達と早く離れることになる
- 帰国後の学校へ再び転入する負担がある
- 帰国時期によっては帰国生入試の資格期間に影響することがある
このパターンが向いている家庭
- 日本の公立高校を第一志望にしている ```
- 帰国する都道府県がすでに決まっている
- 子どもが大きな環境変化に時間を必要とする
- 内申点や地域の入試制度を重視したい
- 母子帰国による生活が現実的に可能である ```
パターン2.中学3年生までバンコクに残る
バンコク日本人学校の中学部を卒業するまで在籍し、 帰国生入試または一般入試で日本の高校を受験するパターンです。
日本人学校は、 日本の学習指導要領に基づく教育課程で授業を行っています。
中学部を卒業見込みであれば、 日本国内の高校を直接受験できます。
帰国生入試だけでなく、 一般入試を受けることも可能です。
この方法なら、
- 家族がバンコクで一緒に暮らせる
- 転校せず中学校生活を終えられる
- バンコク日本人学校の進路指導を受けられる
- 帰国生入試を実施する学校も検討できる
- 海外生活の経験を作文や面接で生かせる
というメリットがあります。
中学3年生まで残るメリット
- 中学校卒業まで家族で暮らせる
- 慣れた学校で受験勉強を続けられる
- 転校による学習・人間関係の変化を避けられる
- 帰国生入試と一般入試の両方を検討できる
- 学校の進路相談室や進路説明会を利用できる
中学3年生まで残るデメリット
- 日本の高校を直接見学できる機会が限られる
- 入試のたびに日本へ移動する場合がある
- 航空券、宿泊、移動費がかかる
- 時差は小さいものの、日本の塾とのオンライン受講に調整が必要
- 合格後、住居や帰国手続きを短期間で進める可能性がある
- 高校入学と本帰国が同時になり、環境変化が大きくなる
このパターンが向いている家庭
- 家族で中学卒業までバンコクに残りたい ```
- 帰国生入試を含めて私立高校を検討している
- 子どもが現在の学校生活に安定している
- 海外からの情報収集や受験準備を進められる
- 合格後の帰国、住居、入学準備を短期間で進められる ```
2つのパターンを比較
| 比較項目 | 中2ごろに母子帰国 | 中3までバンコク |
|---|---|---|
| 日本の学校への適応 | 高校受験前に慣れられる | 高校入学と本帰国が同時になりやすい |
| 一般入試 | 日本国内で準備しやすい | 海外からの準備が必要 |
| 帰国生入試 | 帰国後の経過期間を確認 | 利用できる可能性はあるが学校ごとに条件確認 |
| 公立高校 | 居住地と制度を確認しやすい | 転居予定や出願資格を早めに教育委員会へ確認 |
| 家族生活 | 父親と母子が離れる可能性 | 中学卒業まで家族で暮らせる |
| 子どもの負担 | 中学校で一度転校する | 本帰国と高校入学が重なる |
| 情報収集 | 日本の学校・塾から得やすい | 日本人学校の進路指導を利用 |
中学3年生まで残れば帰国生入試を使える?
中学3年生まで海外にいれば、必ず帰国生入試を利用できるわけではありません。
帰国生入試の出願資格は、 学校や教育委員会がそれぞれ定めています。
主に確認されるのは、
- 海外に滞在した年数
- 海外の学校へ在籍した年数
- 帰国してから受験までの期間
- 保護者の海外勤務に伴う滞在か
- 日本人学校、現地校、インター校のどこへ通っていたか
- 入学後に保護者と同居するか
- 指定地域へ居住できるか
などです。
日本人学校での在籍を帰国生資格として認める学校もあれば、 現地校やインターナショナルスクールとは 条件を分けている学校もあります。
したがって、
「中3まで海外に残れば帰国生枠で有利になるだろう」 という理由だけで帰国時期を決めるのは危険です。 中学1年生や2年生の段階から、 候補校の最新募集要項を確認してください。
帰国生入試の試験内容
高校の帰国生入試では、 国語・数学・英語の3教科と面接を基本とする学校が多くあります。
ただし、
- 国語・数学・英語・社会・理科の5教科
- 英語のみ
- 英語と国語
- 英語と数学
- 作文と面接
- 書類審査と面接
など、学校によって選考方法は大きく異なります。
帰国生入試は一般入試より早く、 秋から冬に実施される場合もあります。
中学3年生になってから調べ始めると、 出願期間や試験対策が間に合わない可能性があります。
一般入試も選択できる
バンコク日本人学校では、 日本の学習指導要領に基づいた授業が行われています。
そのため、 帰国生入試だけに限定せず、 一般入試を受けることも可能です。
帰国生入試と一般入試のどちらが有利かではなく、
- 子どもの得意教科
- 英語力
- 5教科の学力
- 作文や面接の得意不得意
- 志望校の出願資格
- 試験日程
を比べて選ぶことが重要です。
公立高校を受験するときの注意点
公立高校の入試制度は、 都道府県ごとに異なります。
帰国生への特別枠や配慮がある地域もあれば、 一般入試を基本とする地域もあります。
また、公立高校では、 入学時までにその都道府県へ居住することや、 保護者と同居することなどが 出願条件になる場合があります。
海外から直接受験する場合は、
- 受験資格の事前審査が必要か
- いつまでに転居すればよいか
- 住民票はいつ必要か
- 調査書をどの形式で提出するか
- 帰国生への配慮があるか
- 入試当日に日本へ滞在する必要があるか
を、帰国予定地の教育委員会へ早めに確認してください。
バンコク日本人学校の進路指導を活用する
バンコク日本人学校には高等部がないため、 中学部卒業後は生徒一人ひとりが進学先を選びます。
そのため、バンコク校内には 進路相談室が設置されています。
進路相談室には、
- 各都道府県の公立高校入試情報
- 帰国生を受け入れている学校の情報
- 日本国内の私立高校の情報
- 海外にある日本の高校の情報
- タイ国内外のインターナショナルスクールの情報
などが用意されています。
また、学校からは進路通信が発行され、 バンコク校の中学部3年生を対象に 年2回の進路説明会が行われています。
例年、海外子女教育振興財団による 帰国生向けの学校説明会・相談会も開催されています。
学校公式情報は、 次のページで確認できます。
バンコク日本人学校の進路担当には、 同じように帰国時期や高校受験で悩んだ家庭の事例が蓄積されています。 家族だけで結論を出す前に、 中学1年生や2年生の段階から相談することをおすすめします。
進路相談で伝えること
- 帰国予定の都道府県
- 帰国できる時期
- 公立・私立の希望
- 子どもの得意教科と苦手教科
- 帰国生入試を希望しているか
- 家族が別居できるか
- 大学附属校、進学校、国際系などの希望
- 寮のある学校も検討するか
条件を具体的に伝えるほど、 過去の事例や候補校を踏まえた相談がしやすくなります。
寮のある高校は選択肢になる?
寮のある高校や、 海外からの生徒を受け入れている学校もあります。
ただし、管理人が見てきた範囲では、 バンコク日本人学校の生徒の進路として、 寮のある高校を第一選択にする家庭は それほど多くない印象でした。
多くの家庭では、
- 家族の本帰国に合わせて日本の高校へ進学する
- 母子で先に帰国する
- 親族宅などから通学する
という方法を検討していました。
ただし、
- 父母ともに海外勤務を続ける
- 帰国後の居住地が決まっていない
- 希望する教育内容の学校が遠方にある
- スポーツや専門分野に力を入れたい
といった家庭では、 寮のある高校が現実的な選択肢になります。
寮を選ぶ際は、 学力や進学実績だけでなく、
- 休日の過ごし方
- 長期休暇中の閉寮期間
- 病気になったときの対応
- スマートフォンや外出のルール
- 寮費、食費、帰省費用
- 海外在住の保護者との連絡体制
まで確認してください。
学年別に進めたい準備
中学1年生
- 帰国予定時期を家族で仮決めする
- 帰国する都道府県の公立入試制度を確認する
- 帰国生入試を実施する学校を広く調べる
- 学校の成績と英語資格を意識する
- 進路相談室や担任へ早めに相談する
この段階では、志望校を一校に絞る必要はありません。
中学2年生で帰国する場合と、 中学3年生まで残る場合の両方を想定して 情報を集めます。
中学2年生
- 母子帰国をするか具体的に判断する
- 志望校候補を公立・私立に分ける
- 各校の帰国生入試資格を確認する
- 必要な試験科目を確認する
- 一時帰国で学校説明会や文化祭へ参加する
- 模試を受けて現在の学力を確認する
- 必要に応じて塾やオンライン指導を始める
中学2年生は、 帰国時期を決める重要な時期です。
「周囲の家庭がどうしているか」ではなく、 志望校の制度から逆算して決めます。
中学3年生
- 受験校と試験日程を確定する
- 調査書や在学証明書の必要部数を確認する
- 海外在勤証明書などの必要書類を準備する
- 作文・面接用に海外経験を整理する
- 受験時の航空券と滞在先を確保する
- 公立高校の資格審査を早めに行う
- 合格後の本帰国と住居を準備する
帰国生入試では、 学校の成績、調査書、作文、面接なども 合否判断に使われる場合があります。
受験勉強だけに偏らず、 バンコク日本人学校での授業や学校生活も 最後まで大切にしてください。
帰国時期を決めるチェックリスト
- 帰国する都道府県は決まっているか ```
- 第一志望は公立か私立か
- 志望校に帰国生入試があるか
- 日本人学校在籍でも帰国生資格を満たすか
- 帰国後何年以内という条件があるか
- 一般入試は何教科か
- 帰国生入試は何教科か
- 子どもは転校と本帰国のどちらを負担に感じるか
- 母子帰国による別居が可能か
- 日本での住居と通学先を準備できるか
- 海外から学校見学や受験に行けるか
- 進路担当へ相談したか ```
このチェック項目に答えられない段階で、 帰国時期だけを先に決めるのはおすすめしません。
よくある質問
中学生からバンコクへ行くと高校受験に不利ですか?
海外にいることだけで一律に不利になるわけではありません。
バンコク日本人学校では日本の学習指導要領に沿った授業を受けられ、 一般入試と帰国生入試の両方を検討できます。
ただし、志望地域の公立高校制度や 志望校の試験科目を早めに確認する必要があります。
中学2年生で帰国した方が安全ですか?
日本の一般入試、内申点、学校生活への適応を重視する家庭には 安心感のある方法です。
一方で、家族が別居する負担や、 中学校で転校する負担もあります。
中学3年生までバンコクにいても日本の高校を受験できますか?
バンコク日本人学校中学部の卒業見込みであれば、 日本国内の高校を受験できます。
ただし、公立高校の居住条件や資格審査、 私立高校の出願条件は個別に確認してください。
中学3年生まで残れば帰国生入試を利用できますか?
必ず利用できるわけではありません。
海外在住年数、帰国後の期間、 日本人学校在籍の扱いなどは学校ごとに異なります。 最新の募集要項で確認してください。
帰国生入試と一般入試はどちらが有利ですか?
子どもの得意分野と学校の試験方式によって異なります。
英語、作文、面接が強い子には帰国生入試が合う場合があります。 5教科をバランスよく学習している子は、 一般入試も有力な選択肢です。
寮のある高校を選ぶ家庭は多いですか?
管理人が見てきた範囲では、 寮のある学校を選ぶ家庭は少数派でした。
ただし、保護者が海外に残る場合や、 希望校が遠方にある場合には有力な選択肢です。
まず誰に相談すればよいですか?
バンコク日本人学校の担任や進路担当へ相談してください。
帰国時期、帰国予定地、希望する学校の種類を伝えると、 過去の事例や進路資料を基に相談しやすくなります。
まとめ
中学生でバンコクへ赴任しても、 日本の高校受験は可能です。
実際には、
- 中学2年生ごろに母子で帰国して一般入試へ備える
- 中学3年生までバンコク日本人学校に残る
- 帰国生入試と一般入試の両方を検討する
- 家庭の事情によって寮のある高校を検討する
という選択肢があります。
重要なのは、 「何年生で帰国する家庭が多いか」だけで決めないことです。
志望校の出願資格、試験科目、帰国期限、 公立高校の居住条件から逆算して帰国時期を決める 必要があります。
バンコク日本人学校には進路相談室があり、 帰国生受入校、公立高校、私立高校などの資料や 多くの進路事例が蓄積されています。
中学3年生になってから慌てるのではなく、 中学1年生または2年生の段階から進路担当へ相談することが、 最も安心できる準備です。
実際の進学先を確認する
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この記事は、バンコクで教育に長く関わってきた管理人の経験と、 バンコク日本人学校、海外子女教育振興財団などの公開情報をもとに 作成した非公式記事です。 入試制度、帰国生資格、出願期間、試験科目、居住条件は 学校・都道府県・年度によって異なります。 受験前には必ず最新の募集要項を確認し、 志望校、教育委員会、在籍校の進路担当へ直接ご相談ください。
参考: バンコク日本人学校「教育・進路指導」 / 海外子女教育振興財団「帰国に向けて」 / 帰国生のための海外学校説明会・相談会